大振連だより  

第8号(2003年夏号)
(1面)

頑張るなにわの商店街
大阪市住之江区粉浜商店街振興組合
住吉っさんを軸に賑わい創出

「はったつ市」で来街者が倍増!

 地域固有の資源を活用して商店街の活性化を図る。これを見事に実践しているのが、大阪市住之江区の粉浜商店街振興組合(安達久雄理事長)だ。「住吉っさん」(住吉大社)を最大の資源とする当商店街では、その例祭、「初辰まいり」にちなんで平成2年に創設した「はったつ市」(毎月開催)が、今では、ふだんの日の2倍の来街者を集めるまでのビッグイベントに成長。また、地域内の諸団体と共同で進めるまちづくり事業「住吉っさん門前町集客推進協議会」が今年からスタートしており、住吉っさんを核に商店街を活性化させる取り組みが、いよいよ本格化しつつある。

「はったつ市」で、商店街の顔づくり

▲ はったつ市で賑わう商店街


▲ 組合員は、ハッピやエプロン、バッジを着用してお客様をお迎えする


▲ 初辰まいりの日の住吉大社境内


▲ 商店街内に設けられた抽選会場


▲ はったつ市用のお買得商品が組合員によってどんどん開発され、店頭に並ぶ。
 

粉浜商店街は、南海本線「粉浜駅」と「住吉大社駅」との間に展開する南北350メートルにわたる直線型商店街で、アーケードの下に約120店舗が軒を並べている。

 歴史は古く、明治の末期、南海電鉄の全線開通により、沿線の宅地化が進む中で、粉浜駅前に現在の商店街の原型が形成。大正8年には粉浜商栄会が結成され、以来、戦前・戦後を通じて、生鮮三品など食料品に強い、地域の中心的な買物拠点として発展。昭和45年には商店街振興組合に法人化した。

 しかし、1980年代に入ると周辺の商業地の整備が進み、地域間競争が激化。来街者が停滞・減少しはじめた。この苦境打開策として組合が打ち出したのが、「商店街の目玉となるイベントをつくってお客様を呼び込もう」という方向であった。商店街としての独自の「顔」が求められてきたからである。

 この方向に沿って採択されたのが「はったつ市」で、平成2年、大阪市のイベントサポート事業の支援を受けてスタートした。

住吉っさんの「初辰まいり」にちなんで創設

 はったつ市は、住吉大社で、毎月初めの辰の日に行われている例祭「初辰まいり」の日に実施する抽選大売り出しである。

 「初辰まいり」は、ハッタツ=発達に通じるところから、毎月の初辰の日にお詣りすると、商売発達、家運繁昌の御利益があり、とりわけ4年間(48カ月)お詣りすると、四十八辰(始終発達)となって諸願成就するとされ、明治期から急速にひろまった。その人気は今日も続いており、毎回、約1万人の参詣客が近畿一円から訪れている。

 はったつ市は、これらの参詣客に商店街で買物をしてもらおうというのが狙いで、次のようなやり方で行っている。

  1. まず、住吉大社の境内で参詣客に約3千枚の手配りチラシ、商圏内に約2万枚の新聞折り込みチラシで開催日を告知する。
  2. そのチラシには、商店街の中2カ所でスタンプをもらうと、抽選が1回できるようになっている。抽選は空くじなしで、大吉賞1000円、中吉500円、小吉100円の買物券が当たるようになっている。また、年1回の初辰大祭(毎年五月)には大大吉3000円の買い物券を出す。
  3. 組合員は、これらの買物券を自店で使ってもらえるよう、この日のための買得商品を用意し、ハッピやエプロンを着用してお客様をお迎えする。

毎月開催。今では粉浜地域の新しい風物詩に

 はったつ市は、スタート以来、「初辰まいり」の参詣客はもちろん、地元の人たちにも大好評。今では毎回約3千人が抽選会に参加し、毎月この日は来街者数が倍増するまでになっている。

 組合員も大いにハッスル。「はったつ市オリジナル商品」の開発に力を入れる。今では「はったつ寿司」「はったつ豆」「はったつ茶」「はったつコロッケ」などの人気商品が続々生まれ、市の賑わいに華を添えている。

 はったつ市がこのように盛大になったことについて、安達久雄理事長は「なによりも住吉っさんが、境内でのチラシ配付を許可してくれたことが大きいですね。これによって、はったつ市が販促イベントの枠を超えて、地域の生活行事のようになりましたからね」と、住吉大社との絆を強調する。

 はったつ市は、今では、毎月の到来を告げる地域の新しい風物詩となっているようだ。

いよいよスタート!「住吉っさん門前町」をめざすまちづくり

 現在、粉浜地区では、はったつ市とともに、住吉大社を軸にして、地域に賑わいを呼び込もうという、新しいまちづくりの活動が始まっている。その母体となっているのが、当商店街をはじめ、近隣商店街、区役所、住吉大社などで構成する「住吉っさん門前町集客推進協議会」で、今年3月から定期会合を重ねている。

 そのもとで6月1日、「住吉っさん門前町・探索マップ」が創刊された。住吉大社や地域の行事、商店街の売り出しやイベントなどを紹介し、当地区にお客さんを呼び込もうというもので、発行は年4回、地下鉄・南海・阪堺電車の駅や市内の観光案内所、シティホテルなどに置かれることになっている。

 この活動を進めている副理事長兼活性化委員長の富永高文さんは、「マップ発行を機に、住吉っさんの門前町としてふさわしい、広域吸引力を持つ商店街をめざしていきたい」と燃えている。

お問い合わせは、粉浜商店街振興組合へ   
06‐6671‐5324
大阪市住之江区粉浜3‐10‐4

 

(2面)

二極化進む商店街
大振連「空き店舗調査」の概況報告

▲商店街の空き店舗。シャッターの閉じた店が連なっていると寂れた感じがする


▲空き店舗を活用したコミュニティ施設。中には休憩所、トイレ、コインロッカーなどがあり、来街者に喜ばれている

 空き店舗は、商店街の活性化を阻む最大の問題である。大振連では、この問題に対応するために数年前から適宜、傘下組合を対象に空き店舗の実態調査を実施しているが、今年二月に実施した調査の中間報告がまとまったので、その概要を紹介する。

 今回の空き店舗調査では、空き店舗率が前回調査(平成11年1月)より、全体で1.2%増加して8%を超え、大阪市内8.6%、大阪市外8.2%とほぼ同じであり、大阪府下共通の課題となっている。

 過去三年間で空き店舗が増加した組合が55%、変化なしまたは減った組合が45%となっており、この厳しいデフレ不況の中、商店街においても二極化が進んでいると考えられる。

 空き店舗の増加原因については、経営不振や後継者不足、店主の高齢化が三大原因になっており、商店街が置かれている環境の厳しさが伺え、商店街が生き残るためには個店の競争力を強化することが最重要になりつつあることが読み取れる。

 また、空き店舗が埋まらない原因として、「所有者に賃貸、売却の意志がない」「家賃・保証金などのコストが高い」などの回答が多く、店舗所有者、すなわち貸し主側に問題があることが伺え、この点を改善することが急務となりつつあるようだ。

 例えば所有者(貸し主)に対して、空き店舗を放置することによってコスト高を生じさせるとか、それぞれの商店街において家賃や保証金などの相場を設定するなどの対策を講じない限り、空き店舗の発生には歯止めはかからないだろう。

 しかし、立地条件が悪いと答えた組合が11.7%に留まっており、商店街としての資産価値はまだまだ高く、商店街の衰退感を漂わす空き店舗を解消できれば、活力は再生できるのではないだろうか。そこで大阪府立産業開発研究所の鶴坂貴恵主任研究員にその対応策を聞いてみた。

 「空き店舗対策は、単独の商店街としてだけでなく、複数の商店街が共同して誘致活動を行うことも重要であり、その際にはコーディネータやアドバイザーなど外部専門家の意見も聞くことが必要だ。また、個店の廃業を防ぐために後継者の育成・発掘や個店の経営革新という課題に対し認識も高まっており、新たな開業者を育成するためのインキュベート機能を商店街が備えることも重要である。今回の調査でも明らかなように商店街という場所や価値に対する評価は高く、空き店舗を利用したいという潜在ニーズに応えるため空き店舗所有者、テナント、商店街の三者が共通認識を持ち、貸し手と借り手のミスマッチの解消、既存店の経営革新の促進、新規開業者の育成の三点を中心に能動的な取り組みが求められている」と語る。

《空き店舗について、ひと言》

 今回の調査で、空き店舗について「言いたいこと」として、自由回答された組合の声も貴重な情報であるので以下に紹介する。

▼ 空き店舗を若者のチャレンジショップとして活用していくのは良い。しかし、空き店舗に一日貸し等の活用が増えているが(フリー業者)、商店街としては苦情の処理、信用度、商店街への協力度等から感心できない。(生野区・生野銀座)

▼ 空き店舗対策も重要であるが、現在の商店街の既存小売店舗の存続がより重要であると考えている。 単に空き店舗を埋めて商店街全体が活性化するとは考えにくい。なぜなら商店街に協力しないナショナルチェーン等が入ってくると商店街運営ができなくなるからである。(旭区・千林)

▼ 平成15年度事業で空き店舗対策を実施予定であり、商店街にない業種を募集して、やる気のある旺盛な人を選抜する。選抜方法は、レポートを提出してもらったり、飲食店に関しては試食会を開いたりする。募集から選抜に時間が必要なため、一年間の家賃が補助金の対象とならないものか。(高槻市・夢ロード川添)

▼ 空き店舗が一昨年7店舗あり、他の商店街と同じような状態だったが、家主が内部改造に費用をつぎ込んだため、借り手がすばやく決まった。それとともにアーケードを新設したためか、入店希望者が増えた。現在空き店舗はない。(守口市・土居)

▼ 店舗の家主等に対して商店街・行政が一帯となり強制力のある商店街協定を策定し、それに基づいて運営できるように条例化してほしい。(東大阪稲田)

▼ 空き店舗でもチェーン店の撤退が目立つようになってきた。商店街としては対策は難しい。空き店舗対策事業の内容の充実をしてほしい。特にチャレンジショップ事業への助成内容を家主の理解を得やすいようにもう少し充実させてほしい。(枚方市・宮之阪中央)

〔ここ3カ年の空き店舗の状況〕

1.貴商店街では過去3ヵ年で、空き店舗はどのように変化しましたか。

増えている
減っている
変化なし
無回答

89 (54.9%)
17 (10.5%)
55 (34.0%)
1 (0.6%)
回答組合数 162組合

〔集計結果〕
■調査対象組合数:218組合 ■回答組合数:162組合 ■回収率:74.3%
■店舗数:10,798店舗 ■空き店舗数:911店舗 ■空き店舗率:8.4%

2.貴商店街で空き店舗が増えた理由は何ですか。(○印は2つまで)

1.後継者がいないため
2.経営不振のため
3.移転のため
4.店が狭小になったため
5.店が老朽化したため
6.店主が病気・高齢化等のため
7.立地条件が悪化したため
8.家賃(地代)が高くなったため
9.その他
   無回答

63
96
11
1
3
54
10
11
7
26
38.9%
59.3%
6.8%
0.6%
1.9%
33.3%
6.2%
6.8%
4.3%
16.0%

3.空き店舗の発生に対し、どのような取り組みをしましたか。(複数回答)

1.業種・業態を考慮した上で、出店者をさがした
2.業種・業態にこだわらず、出店者をさがした
3.商店街にとってマイナスになる店舗の進出を抑制した
4.コミュニティホールや駐車場(駐輪場)などに活用
5.特になにもしなかった
6.その他
   無回答

34
29
11
9
75
28
11
21.0%
17.9%
6.8%
5.6%
46.3%
17.3%
6.8%

4.空き店舗の発生により、商店街はどのような影響を受けていますか。
  (○印は3つまで)

 1.今のところ大きな問題になっていない
 2.イベント等に利用できるスペースができた
 3.商店街全体がさびれた感じがするようになった
 4.空き店舗の前が放置自転車の置場やゴミ捨て場に
 5.必要な業種が揃わなくなった
 6.地価が下がった
 7.会費が納入されないため、商店街の運営に支障
 8.商店街の在り方を考えるようになった
 9.その他
   無回答
52
21
101
28
40
13
49
49
5
14
32.1%
13.0%
62.3%
17.3%
24.7%
8.0%
30.2%
30.2%
3.1%
8.6%

5.貴商店街で、空き店舗が埋まらない原因は何ですか。(○印は3つまで)

1.店舗が狭小である
2.店舗が老朽化している
3.所有者に、賃貸または売却の意思がない
4.店舗の立地条件が悪い
5.コスト(家賃・保証金)が高くつき、
   業種・業態が限られてしまう
6.新規入店者との業種競合など、
   組合員相互の利益調整ができない
7.その他
  無回答

25
40
88
19
77

7

23
21
15.4%
24.7%
54.3%
11.7%
47.5%

4.3%

14.2%
13.0%

6.空き店舗の解消に取り組む場合、商店街として、どのような対応が必要
 であると考えますか。(○印は3つまで)

1.家主に対し、望ましい業種や適正な家賃設定の
  要請など商店街全体の問題として働きかける
2.空き店舗の貸し手と借り手の情報を把握し、
  提供する仕組みをつくる
3.商店街が空き店舗を借り上げ(または買い取り)て、
  活用できる仕組みをつくる
4.複数の商店街、市、会議所等と連携して
  新規出店者を誘致する
5.その他
  無回答

102

72

53

46

14
15
63.0%

44.4%

32.7%

28.4%

8.6%
9.3%

7.空き店舗を増やさないためには、商店街として空き店舗になる前の対策
 をどう取り組む必要がありますか。(○印は3つまで)

1.空き店舗にする前に、事業継承者を外から斡旋する
  仕組みをつくる
2.後継者を育成する仕組みをつくる
3.店舗の所有者や家主の意向を踏まえ、商店街と連携
  し誘致する
4.商店街協定などを策定し、事前に組合員から相談を
  受ける仕組みをつくる
5.店舗としてだけでなく、保育施設や高齢者等の交流
  施設など、幅広いサービスを提供する場として誘致
6.その他
  無回答

34

33
101

57

54

12
13
21.0%

20.4%
62.3%

35.2%

33.3%

7.4%
8.0%

8.既存店の廃業を防ぐためには、個店としてどのような店舗革新が必要で
 あると考えますか。(○印は2つまで)

1.後継者の育成(親族、従業員、新規雇用など
2.業種・業態の転換                
3.店舗のリニューアル(店舗改装)         
4.店舗の再構築(得意分野に特化)         
5.商売の仕方の変更(外商、ネット販売等)     
6.その他                     
  無回答                     
75
50
32
68
38
14
11
46.3%
30.9%
19.8%
42.0%
23.5%
8.6%
6.8%

9.隣接した複数の商店街が連携し、空き店舗を未然に防ぐためには、どう
 いう取り組みが必要と考えますか。(○印は、上位3つまで)

1.開業希望者を育成するセミナーを共同で実施する  
2.商店へのインターンシップ(見習)事業やチャレン
  ジショップ事業を共同で実施する          
3.空き店舗への共同誘致事業の立ち上げ時に、コーデ
  ィネータやアドバイザーなどの専門家の派遣を受ける
4.開業希望者やNPOなどの出店者と受け入れ側の商
  店街組織等 とのマッチングの仕組みをつくる     
5.複数の商店街により共同で事務局を設置し、商店街
  のマネジメント力を強化する            
6.その他                     
  無回答                     

30
48

58

75

38

8
29
18.5%
29.6%

35.8%

46.3%

23.5%

4.9%
17.9%


 


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