大振連だより  

第10号(2004年冬号)


(1面)

チャレンジする商店街
大阪市中央区 千日前道具屋筋商店街振興組合
体験修学旅行で賑わい創出!

いまや大阪観光の新しい集客拠点に!

 春や秋、大阪・ミナミの道具屋筋にたこ焼き屋台が出現する。「うまいよー!」「買(こ)うてんかー!」と声を張り上げているのは制服姿の修学旅行生たちだ。実はこれ、千日前道具屋筋商店街振興組合(千田忠司理事長)が平成12年から実施している修学旅行生受け入れ事業の一場面だ。あきんど・丁稚体験、たこ焼き販売、落語講座など大阪らしさを盛り込んだ体験実習が大いに当たり、全国の小・中・高校から申し込みが殺到。修学旅行生たちで賑わうこの界隈は、今では大阪観光の新名所といわれるまでになっている。

商い体験を通して大阪の良さを知る


▲修学旅行生を受け入れている千日前道具屋筋商店街


▲たこ焼き販売にチャレンジする修学旅行生


▲若手落語家から上方落語の指導を受ける生徒と、それに見入る生徒たち(「ワッハ上方」にて)


▲修学旅行生にお土産として渡される商店街のオリジナルグッズ

 千日前道具屋筋商店街は、大阪ミナミの中心地の難波の一筋東、「道」と書かれた看板が上がったアーケードに沿って48店舗が連なる商店街である。明治中期から百数十年の伝統をもち、全国各地から料理・飲食店の経営者や料理人が自店で使う道具を探しに来る「調理器具の専門店街」として発展した。

 しかし近年、地方からの顧客が減り、大きな危機を迎えた。そのために、卸とプロに限っていた商いを小売りに拡大。同時に、「道具屋筋まつり」の創設をはじめ、知名度と集客力アップを図るさまざまなイベント事業を積極的に進めている。

 「体験修学旅行」は、これらの活動の中から生まれた事業である。修学旅行生に商い体験を通して大阪の良さを理解してもらおうという主旨で、平成12年にスタートした。

 この事業の仕掛人の千田忠司理事長は「大阪は食と商いと笑いの街。私たちの商店街は食と商いの本場であり、隣接して府立の上方演芸資料館〈ワッハ上方〉や吉本新喜劇の〈なんばグランド花月〉もある。これらを活用すれば、本物の大阪が発見できる修学旅行になると確信した」と語っている。

たこ焼き販売・落語に挑戦・盛り沢山の体験学習

 修学旅行生が行う体験学習は、組合員が指導。そのコースは次のようになっている。

  1. 商店街講座。商店街の歴史や文化、商品(陶器・ガラス・包丁・厨房機器・看板など)、商人の心意気などを学ぶ。
  2. あきんど・丁稚体験。組合員の店舗で実践販売する。その中で、物を売るだけでなく、あきんど文化を売ることの重要性を学ぶ。
  3. 実演販売体験。たこ焼き・いか焼きなどを実際に屋台で販売する。これを通して、仕入から売上・収支について勉強し、同時に商売の楽しさや厳しさを体験する。
  4. 手作り体験。提灯の絵付けや食品サンプル作成を体験し、ものづくりの楽しさを学ぶ。
  5. 芸人体験。プロの若手芸人から大阪弁や上方落語を教えてもら。実際に舞台に上がって落語を実演し、コミュニケーションの大切さを学ぶ。
  6. 食文化体験。叶逍[の中井政嗣社長の人生体験のレクチャーと指導のもと、うどんやたこ焼きなどの大阪粉文化を学びながら、実際にお好み焼きや焼そばなどを各自で焼いて賞味する。

 これらのコースは基本的に一日で体験する。すべてを体験した生徒には「修了証」が授与される。なお、実演販売体験で得た売上金は、全額その学校に寄付するようになっている。

全国から申込み殺到!生徒・先生に大好評!

 スタート以来大評判となり、全国の小・中・高校から申し込みが殺到。これまでの4年間で約300校、およそ一万人の生徒を受け入れた。申込みは今も続いているが、平成17年度まで予約済みであるため、ことわるのに苦労しているとのことである。

 参加した生徒の評価は非常に高く、「百円もうけることが、これだけ大変だとは知らなかった」「売れたとき、うれしくて涙が出た」「お店の人の商売にかける熱意に感動した」「働くなら絶対大阪」など、衝撃的な感動を綴った感想文が、あとから続々送られてくる。

 また、先生や保護者からも、「熱中する生徒をみて感激した」「子供たちが体験したことを自分からすすんで話してくれる」などと大好評だ。

 新聞やテレビもさかんにとりあげ、大きな話題を巻き起こしている。道具屋筋は、いまや大阪の新しい集客拠点となりつつある。

 千田理事長は「生徒や先生をはじめ、多くの方々から喜んでもらえ、本当にうれしい。また、不況で自信をなくしかけていた私たち商売人に、誇りとやる気を取り戻させてくれたことも大きな成果で、達成感を感じています」と胸を張る。

充実するベンチャー支援事業

 体験修学旅行とともに注目を集めているのが、ベンチャー支援事業である。

これは、「道具屋筋が大切にしている大阪の食文化の伝統を、次世代の商業者に受け継いでもらいたい」(千田理事長)という思いから始めた事業で、飲食業を志す若者に対し、店舗の立地や設計から資金調達、食材の仕入の相談、また修業が必要な場合は受入先の紹介など、新しい起業家を育てるものである。

 一昨年、相談日を決めて「道具屋筋ベンチャーウィーク」としてスタートして大好評を博したが、昨年10月に「商い頼もう会」を発足させ、常時相談に応じられる体制を整えた。弁護士や公認会計士、内外装業者などの専門家を組織し、当番制で入会者の要望にきめ細かに応じようというもので、事務局を組合内に設置。会費は原則無料で、現在入会を呼びかけている。

 本物の大阪文化を発信する「食と笑いと商いの街」へ。道具屋筋のチャレンジは続く。

お問い合わせは
千日前道具屋筋商店街振興組合へ
06-6632-2512
大阪市中央区難波千日前8番21号 

(2面)


チャレンジする商店街
青森県 青森市新町商店街振興組合
ベンチャー支援で街づくりに弾み!

新しい商界隈「パサージュ広場」を創り出す


▲パサージュ広場のある青森市新町商店街


▲新しい商業界隈となった「パサージュ広場」(番外の広場))


▲新町通りから見た「パサージュ広場」


▲広場を取り囲んでいるチャレンジャーたちの店舗


▲駅前再開発ビル「アウガ」

 ベンチャー支援事業を行う商店街は増えつつあるが、商店街の活性化につながっているケースは意外と少ない。青森市新町商店街振興組合(成田雄一理事長)など中心街区の7商店街では、行政(青森市)が整備する多目的広場「パサージュ広場」を、ベンチャー育成の場にすることを提案し、商業者自らの手で事業を運営。平成12年にスタートし、今ではチャレンジャーたちの店舗が並ぶ広場は、新しい集客スポットとなっている。

「パサージュ広場」を商業者育成の場に

 青森市新町商店街(以下、新町商店街)は、JR青森駅から東に延びるメインストリート(新町通り)沿いにあり、160店舗で構成されている。青森市の中心市街地の軸となっている商店街である。

 市内各所からの買物客や青函連絡船の時間待ちの人々などで大いに賑わっていたが、近年、連絡船の廃止、ロードサイド大型店の進出、さらには不況の追い打ちなどで来街者が減少し、街中には空地が取り残され、都心の空洞化が叫ばれるようになった。

 この事態に対し、青森市と青森商工会議所は、平成12年に「青森市中心市街地活性化基本計画」を策定し、「パサージュ(仏語で小径)構想」を打ち出した。通り抜けができる小径、溜まり場となる広場、それを取り囲む形で低層・低賃料の店舗を整備し、賑わいのある新しい商界隈を創る構想である。

 パサージュ構想に基づいて、新町商店街の中にある約895uの空地が取得され、広場と小径と店舗区画からなる「パサージュ広場」が誕生した。

 店舗については、新町商店街振興組合常務理事の加藤博氏ら地元商業者から、新しい感覚の商業者を育成しようとの提案があり、飲食系4、物販系5の9つの店舗区画が整備。平成12年10月、商業ベンチャー支援事業がスタートした。

商業者自らが事業運営会社を設立

 支援事業の運営については、TMOから、商業者のノウハウを活用する民間会社を設立すべきだと提案があり、市内の商店街に出資を呼びかけたところ、個人20人、3商店街振興組合、1協同組合が参加。資本金600万円の「有限会社PMO(パサージュ・マネジメント・オフィス)」が設立され、代表に前出の加藤博氏が就任。市は事業の運営を委託した。

 PMOは、出店者の募集・選考から経営指導、開業支援まですべてを行う。そのために、それぞれの分野の専門ノウハウを持つ商業者を組織し、指導する体制を整えている。

 出店者の条件としては、中心市街地での開業意欲を持つ18歳以上の個人で、飲食系4店舗、物販系5店舗。パサージュ広場での営業期間は、飲食系が5年、物販系が1年となっている。

 また、出店料は坪当たり一律5000円/月、共益費は一律1万円/月で、これらがPMOの主要な財源となっている。

 このようにPMOは、行政から補助金をもらって事業を展開する従来のやり方ではなく、商業者自らの知力と資力でやるという新しいやり方をとっている。この点について、代表の加藤氏は「補助金に頼っていては長続きはしないし、身も入らない。人づくり(商業者の育成)は街づくり。途中で挫折させるわけにはいかない事業です。私たちが事業運営会社をつくった理由はここにあります」と語っている。

個性的な店舗が育ち「パサージュ広場」が新しい集客拠点に

 PMOの経営指導は「小さなものでも、できることから始め、小さな成功を積み重ねる」がモットーだ。通り一遍の指導ではなく、挨拶・接客のやり方から、伝票の書き方、店のブランドづくり、POPやチラシの作り方、さらには悩みや人生相談など、実に細かく丁寧、しかも厳しい。なかには悲鳴を上げる者もいるという。

 こうした指導のもとで、パサージュ広場には、カレーショップ、クレープハウス、レストラン、ラーメン店、女性ファッション、ガーデニングなど元気で個性的なチャレンジャーたちの店舗が育っている。いずれも評判店となっているが、なかでもカレーショップやクレープハウスは、お客様が列をなすほどの繁盛ぶりである。

 これらの店舗が並ぶパサージュ広場は、ふだんは休憩や語らいの場として様々な年代の人々に利用されているが、各種のイベントの場ともなり、店舗とあいまって賑わいを創り出している。一にも二にも新町商店街など中心街区商業者たちの汗と努力の結晶である。

 一方、卒業生(物販系)の活躍も始まっている。すでに五店舗が、再開発ビル「アウガ」(後述)など中心市街地の商業ビルや郊外に出店し、営業を始めている。

再開発ビル「アウガ」との相乗効果で歩行通行量が激増

 パサージュ広場とともに、新町商店街に大きな集客効果をもたらしているのが、平成13年1月に開業した駅前再開発ビル「アウガ」である。

 新町商店街の中に建設され、若い人向けのファッション店舗、鮮魚や乾物を中心とする生鮮市場、市民図書館と男女共同参画プラザの公的施設で構成された複合ビル(地上9階、地下1階)で、朝市が始まる午前五時頃から、男女共同参画プラザが閉まる午後10時まで、どこかの階が開いている。とくに、図書館は店舗と同じく午後9時まで利用でき、若者層を集客する大きな要因になっている。

 青森商工会議所が平成13年に実施した「歩行者通行量調査」によれば、アウガとパサージュ広場ができたことにより、歩行者通行量がおよそ4割増えたという。その状況は現在も続いている。

 新町商店街は現在、「福祉対応型商店街」をめざす街づくりを進めており、電動スクーターなどの無料貸出しを行うタウンモビリティ事業、格安料金で即日配達をする宅配事業、車イス用トイレや駐車場をガイドする福祉マップの作成、高齢者や身障者への接遇マニュアルの作成など多彩な活動を展開している。

 加藤氏は「パサージュ広場とアウガ。この二つの核ができたことで、街づくりに弾みがついた。さらなる飛躍を図りたい」と燃えている。

お問い合わせは
青森市新町商店街振興組合へ   
017‐775‐4134
青森市新町2‐6‐27


(3面)

大振連青年部活動報告

 大振連青年部(富永高文青年部長)では、11月6・7日、富山市の中心市街地にあるTMOの「鰍ワちづくりとやま」と交流事業(参加者8名)、11月18日にはフェイセスゲストハウス(大阪市天王寺区)において、第2回まちづくりゼミナール(参加者約30名)をそれぞれ実施した。

 とくに第2回ゼミナールでは、初回(9月11日開催)の商店街活性化には個店の活性化と競争力強化が不可欠であるという結論をうけて、一店逸品運動で全国に名を馳せている静岡市の呉服町名店街から、この運動の仕掛け人である池田浩之一店逸品委員会委員長を大阪に招いて、個店経営が商店街に及ぼす影響の大きさの検証を行っ
た。

TMO「(株)まちづくりとやま」のミニチャレンジショップ

富山市の中心商店街


▲チャレンジショップ「フリークポケット」


▲チャレンジショップ「まちなか西遊房」


▲チャレンジショップ卒業店のBrown Sugar

 富山市は北に富山湾、南に立山連峰を配する風光明媚な街で、石倉町延命地蔵の湧き水など水のたいへん美味しいことでも知られている。

 中心市街地といわれる地域は、戦国時代の名将佐々成政の居城があった富山城址公園の南側に位置し、JR富山駅から徒歩約15分のところにあり、総曲輪(そうがわ)通り、中央通り、西町など七つの商店街から構成されている。大型百貨店やホテルなど集客施設もあるが、近年は郊外への大型店出店の影響などもあって、人通りは減少し、空き店舗も目立ち始めたそうだ。今回は商店街空き店舗対策の一環として店舗をいくつかのブースに区割りし、各々のブースを商売未経験者の創業者に低廉な家賃で一定期間賃貸し、独立を目指して商店経営のノウハウを習得してもらい、街の賑わいを創出するミニチャレンジショップ事業について中田斉総務部長からレクチャーを受け、その実態を探るため交流を行った。

チャレンジショップ「フリークポケット」「まちなか西遊房」

 TMOが運営するミニチャレンジショップには、一号店として平成9年7月にオープンした中央通りの西端にある若者向けの「フリークポケット」(以下、フリポケ)と二号店として平成13年3月にオープンした西町商店街の中程にある年配者向けの「まちなか西遊房」(以下、西遊房)がある。

  入店期間はフリポケが原則一年以内、西遊房が2年以内、家賃はフリポケが1ブース2〜3坪で月額1万円で8ブースあり、西遊房が1万5千円で6ブースあって、水道光熱費としていずれも月額1万5千円が必要だ。業種は、フリポケが古着、アクセサリー、小物・雑貨など、西遊房がリサイクル、アウトレット、鍼灸、医療・雑貨などで書類審査と事業への意欲を重視した面接審査を経て入店する。また、経営に行き詰まったときは、商業者7〜8人で構成する運営協議会が相談に応じている。

72店が卒業、36店が営業中

 フリポケは6年間で60店が卒業、40店が中心市街地に出店し西遊房は二年間で12店が卒業、うち8店が出店したが、フリポケからの出店者で10店が退店、西遊房は2店が既に退店し、現在合わせて36店が営業中だ。しかし、そのほとんどが中心市街地で営業し、空き店舗対策という面では一定の効果を上げているようだ。 

 中でも若者向けの雑貨を扱うBrown Sugarという店は、金沢市と高岡市にも支店をもつまでに至っている。

 このような業績の良い店が牽引役となって、通行者が減少傾向にある中でも少しずつではあるが、若者を中心とする新しい顧客を増やしつつあり、商店街の活性化に貢献しているようだ。


商店街(振)静岡呉服町名店街の一店逸品運動

静岡市の中心商店街


▲まちづくりゼミナールの模様


▲人気を集めている商店街の逸品


▲様々な工夫が施された池田屋のオリジナルランドセル

 旧清水市と平成15年4月に合併、人口約70万人を擁し、政令指定都市への昇格を目指している静岡市の中心商店街である呉服町名店街は、JR静岡駅徒歩5分のところにある広域型商店街である。

  平成8年にはアーケードを新設するとともにモール化も図って、静岡市が東海道で栄えた街ということもあって、通りのいたるところに街道風俗画や浮世絵を取り入れたモニュメントやオブジェが設置されている。

 最近は郊外店が増加しており、静岡市全体が厳しい環境にさらされているが、だからこそ集客もできると池田委員長はいう。

一店逸品運動のきっかけ

 平成2年に取り組んだコミュニティマート構想で、地域の商業文化や豊かなコミュニケーションの拠点となる商店街づくりに着手したものの核となるようなソフト事業が見出せなかった。

 そんな中、当時、商店街活動に関わっていなかった鞄屋の主人であった池田氏が、やはり商売人の役割は、自分の店を繁盛させることであるとの信念に基づいて、価格で勝負をするのではなく、大規模店ではできないお客様の心理をついた商売をしようという呼びかけによって、10年前に始まった。

 しかし、当初は自主的に参加する人はなく、とりあえず数名のものが自分のこだわっているものや自慢できるものを持ち寄って自慢し合うことから始め、徐々に店で売っているものについて評価し合うようになった。それが、少なくとも競合する近隣店や大型店では売っていないもの、できれば全国どこにもないものを売っていこう、また、同じものを売るならより良いサービスを提供しようという一店逸品逸サービス運動を展開させることになった。

逸品(すぐれもの)がもたらした効果

 この運動によってチラシなどを通じて、運動参加店の逸品などがPRされることになり、売上にも貢献することになる。

 そうなれば、今まで参加していなかった店も意欲を持つようになって、運動に参加するようになり、今では組合員約80名のほとんどが一つ以上逸品を持つようになっている。

 また、それらの逸品がホームページ上で公開されることによって、県外各地からの注文があいつぐようになり、個店の売上増に大いに寄与している。

 例えば、池田委員長の店では、オリジナルランドセルが年商のかなり大きな部分を占めている。現在、全国から注文が殺到している状況で、どうしても現物を見たいという人のために、東京銀座にオリジナル商品の店をオープンさせて対応している。

 以上のようにインターネットとあいまって、大きな相乗効果を発揮している一店逸品運動だが、今後ますます工夫された逸品が開発されるのが楽しみだ。


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